目に見えない排気技術と並び、建築構造における徹底した配慮が現代火葬場の信頼を支えている。煙突が消えたもう一つの理由は、排気口の設計における画期的なイノベーションだ。かつての巨大な直立煙突に代わり、現代の施設では屋上の平坦な部分やルーバーの内側に隠された「隠蔽煙突(水平排気システム)」が採用されている。建物の意匠に完璧に溶け込ませることで、外部からは排気口の存在すら判別できない。
また、燃焼室内を常に外気より低い圧力に保つ「負圧制御」を行うことで、炉の開閉時に臭気や煙が室内や屋外に漏れ出す事態を完全に遮断している。住宅地に隣接する施設であっても、近隣住民が火葬の実施に気づくことすらほとんどない。こうした構造的秘密と徹底した臭気対策により、長年各地で相次いだNIMBY(近隣忌避施設)を巡る地域トラブルや反対運動の発生リスクは大幅に低減されている。