日本人の心にこのシンボルが強く刻み込まれた歴史的瞬間といえば、1964年東京オリンピックの公式ポスターだろう。名匠・亀倉雄策の手によって描かれた、鮮烈な日の丸の下に黄金色の5つの輪が配置されたグラフィックは、世界的な賛辞を浴びた。
だが、知られざる秘話もある。初期の大会や各種ノベルティグッズにおいて、5つの輪の重なり順や配置の角度、色のトーンが微妙に誤って印刷されるケースが世界中で頻発していたのだ。重なり合うリングは上段に3つ、下段に2つ。左から右へ「青・黄・黒・緑・赤」の順で規則正しく交差していなければならない。この完璧な幾何学美を守るため、時代を経るごとに詳細なマニュアル化が進められてきた。