真骨頂は、特定のイメージに自身を固定化させないしなやかな柔軟性にある。爽やかな好青年を完璧に演じ切ったかと思えば、次の作品では陰のある複雑な過去を背負った人物へと一瞬で変貌を遂げる。
アクション、サスペンス、ヒューマンドラマ、ロマンス――ジャンルを選ばない適応力は、作品全体のトーンに溶け込む鋭い観察眼に裏打ちされている。主張しすぎることなく作品世界に佇みながら、要所で強烈な印象を残す。彼が画面に登場するだけでストーリーにリアリティと緊張感が生まれるのは、どの役柄に対しても偏見を持たず、その人物の「生き様」をゼロから再構築しているからにほかならない。