本作の驚異的な完成度を支えたのは、昭和歌謡界の最高峰に君臨したクリエイター陣の並々ならぬ執念です。作曲の筒美京平氏は、マイケル・ジャクソンらの台頭による洋楽ディスコサウンドの進化を貪欲に吸収し、日本の歌謡曲特有の湿り気のあるメロディと融合させました。さらに、編曲を担当した船山基紀氏による絢爛豪華なブラスセクションと重厚なベースラインが、楽曲に圧倒的な疾走感を与えています。
作詞のちあき哲也氏が紡いだ「いっそX・T・C(エクスタシー)」「迷い込んだイリュージョン」といった刺激的で退廃的な言葉遣いは、10代から20代へと差し掛かる青年たちの危うい色香を見事に引き出しました。この緻密な楽曲設計と過酷なレッスンに裏打ちされた実演力が見事に結実したのが、1986年の賞レースです。
「仮面舞踏会」は、発売翌年の第28回日本レコード大賞で最優秀新人賞を満場一致で獲得。オリコン年間シングルランキングでも上位に食い込むロングヒットを記録しました。そして、同年の『第37回NHK紅白歌合戦』では、新人としては極めて異例となる白組のトップバッターに抜擢されます。この紅白の舞台では、白組司会を務めた加山雄三氏が、極度の緊張から「少年隊、『仮面ライダー』!」と曲名を言い間違えて紹介してしまうという、テレビ史に残る伝説のハプニングも生まれました。しかし、3人は動じることなく完璧なアクロバットと歌唱を披露し、日本中のお茶の間を釘付けにしたのです。