チェルシーを就任わずか半年でチャンピオンズリーグ制覇に導いたトゥヘル監督の真骨頂は、トーナメントにおける圧倒的なリアリズムです。その戦術眼を証明したのが、今回のサプライズ選出の真相です。
最大の抜擢と評されたのが、クリスタル・パレスで驚異的なボール奪取と縦パスの成功率を記録し続けるアダム・ウォートンと、リールで異彩を放ち海外武者修行で急成長を遂げたアンヘル・ゴメスです。彼らは英国内のビッグ6に所属していないものの、データ解析企業が算出する「相手のファーストプレッシャーラインを無効化するパス供給率」においてプレミアリーグトップクラスのスタッツを記録していました。
若手注目選手の経歴を辿ると、下部リーグからの這い上がりや、10代での海外挑戦など、過酷な競争環境を自力で生き抜いてきた共通項が見出せます。かつてのイングランドが陥りがちだった「ビッグクラブのベンチウォーマーを名前だけで呼ぶ悪習」をトゥヘルは完全に排除。「私のシステムで走れるか、私の戦術を1秒で理解できるか」という基準だけで選ばれた実力派たちが、代表の競争構造を激変させています。