JR博多シティ9階「くうてん」のオープン当初、東京・丸の内や麹町で名を馳せていた人気フレンチグループの九州初進出として、オーグードゥジュール メルヴェイユ博多は大きな話題を呼びました。駅ビル商業施設内でありながら、グランメゾンに匹敵する高度なガストロノミーを提供し、2014年の『ミシュランガイド福岡・佐賀 特別版』では見事にミシュラン一つ星を獲得しました。
順風満帆に見えた同店が営業を終了したのは2026年1月のことです。突如の営業終了に関してネット上では様々な憶測が飛び交いましたが、飲食業界関係者への取材や運営動向から浮かび上がる決定的な要因は、「商業施設との約9年にわたる定期賃貸借契約の満了」と「運営母体によるポートフォリオの再編」が重なった点にあります。
駅ビル商業施設におけるテナント契約は通常5年または10年前後の定期借家契約が多く、契約満了のタイミングで大規模なリニューアルやコンセプトの刷新が検討されます。さらに当時、東京本店の系列店を含むグループ全体の再構築が進んでいた時期でもあり、惜しまれながらも契約満了をもって歴史にピリオドを打つ決断が下されました。