Web上の情報や美談を鵜呑みにすることで生じる最大の落とし穴は、「祝祭感の押し付け」です。良かれと思って企画したサプライズや過密なスケジュールが、主役に多大なストレスを与えてしまう実例は枚挙にいとまがありません。
日本老年医学会などの報告でも指摘されている通り、90歳前後のシニアは認知機能や環境適応能力が緩やかに低下しており、慣れない環境や大勢の人の気配、騒音に長時間晒されると、突発的な譫妄(せんもう=一時的な意識混濁や興奮状態)や極度の疲労を引き起こす危険性があります。
「親族20人を集めて温泉旅館へ一泊旅行」「主役に内緒で当日まで隠しておいた大規模サプライズパーティー」といった企画は、90歳のお祝いにおいては極めてリスクが高いと言わざるを得ません。「主役が主客として気を遣いすぎてしまう状況」を避けることこそが、真の孝行です。
また、ネット上では「記念品に杖や老眼鏡を贈る」という記事も見受けられますが、健康器具や補助具は本人の身体サイズや医師・理学療法士の指導に基づいてミリ単位で選定されるべきものであり、他人がデザインだけで選ぶべきではありません。本人のプライド(老いを受け入れる過程の葛藤)を傷つけてしまうリスクもあるため、日常的な補助具をギフトにする際は事前の慎重な確認が求められます。