時計の針を2017年4月に巻き戻す。写真週刊誌が報じた一枚のスナップ写真が、芸能界に激震を走らせた。深夜のバーカウンター、そして寄り添うように移動するふたつの影。当時、集英社の看板雑誌『Seventeen』の専属モデルとしてティーンから絶大な支持を集め、テレビドラマ『35歳の高校生』などで女優としても頭角を現していた江夏詩織(当時は北山詩織名義でも知られた)と、ヒップホップ界きっての洒落者として名を馳せていたSU。22歳差という年齢差以上に世間を騒然とさせたのは、彼を取り巻く家庭環境だった。
清純派としてのキャリアを着実に積み上げていた若きモデルと、既婚者でありながら希代の色気を漂わせていたベテランMC。事態は瞬く間にSNSで拡散され、苛烈なバッシングの嵐が吹き荒れた。それまでカルチャーアイコンとして持て囃されていたふたりの輪郭は、スキャンダルという無機質なレッテルによって一変してしまう。ファンの失望とゴシップメディアの狂騒が入り乱れる中、静かな破滅へのカウントダウンが確実に刻まれ始めていた。