インターネット上の掲示板やSNSでは、人工心肺装置に関するいくつかの誤解や極端な言説が見受けられます。科学的根拠に基づき、代表的な誤解を是正します。
誤解1:「人工心肺を装着したら一生外せなくなるのではないか?」
これは完全な誤解です。開心術で用いられる人工心肺装置は、手術室の中で病変の治療を完了させる数時間だけ使用するものです。手術終了時には心臓の拍動を再開させ、自前の循環が安定したことを確認して回路を体から完全に外します。生涯にわたって装着し続ける補助人工心臓(VAD)やペースメーカーとは全く異なる概念です。
誤解2:「人工心肺を使うと必ず認知症になる?」
術後に見られる一時的な見当識障害や「せん妄」を認知症の発症と混同するケースが目立ちます。麻酔薬の影響やICU環境による一時的な脳機能の乱れは、適切な術後管理と時間の経過とともに大部分が軽快します。