「これほど真っ赤なのに、なぜ全く痛みを感じないのか」と不思議に思う方は非常に多いです。この理由は、眼球の解剖学的構造にあります。
角膜(黒目)には三叉神経由来の痛覚受容体が高密度に分布しており、微小なゴミが入っただけでも激痛が走ります。一方で、球結膜(白目)の深層組織は知覚神経の密度が低く、圧力や組織内出血に対して痛覚信号を強く発しません。そのため、本人が自覚症状を全く感じず、周囲から「目が真っ赤だよ」と指摘されて初めて気付くケースが典型的なパターンとなります。
しかし、痛みがないからといって安閑としていられないケースが存在します。それが「結膜下出血を短期間で何度も繰り返す場合」です。
日常生活における主な誘因としては、激しい咳やくしゃみ、重い荷物を持ち上げた際のいきみ、過度な眼精疲労、そして精神的・肉体的ストレスが挙げられます。自律神経が乱れると毛細血管の収縮・拡張リズムが破綻し、血管壁が脆弱化しやすくなります。現代社会特有のデスクワークによるドライアイも、無意識の擦過行動を誘発する引き金となります。
さらに見逃してはならないのが、背景に潜む基礎疾患です。高血圧、動脈硬化、糖尿病、あるいは血液凝固異常症(血小板減少症など)を抱えている場合、全身の血管抵抗が高まっていたり止血機能が低下していたりするため、結膜下出血が頻発します。また、脳梗塞や心疾患の予防として抗凝固薬(ワーファリン等)や抗血小板薬(バイアスピリン等)を内服している方も出血が起きやすく、一度出ると吸収に長い日数を要します。