そもそも、なぜこれほどまでに残虐な組織が広大な領域を支配するに至ったのでしょうか。その背景には、2011年に勃発したシリア内戦と過激派組織の急激な台頭があります。
シリアのアサド政権軍と反体制派の泥沼化した内戦、そしてイラク戦争後の政治的混乱と宗派対立の間隙を縫って、アルカイダの分派から発展したイスラム国が急速に勢力を拡大しました。2014年6月には最高指導者アブバクル・バグダディが「カリフ制国家の樹立」を一方的に宣言。イラク第2の都市モスルやシリア北部のラッカを支配下に置き、一時はイギリスの国土面積に匹敵する領域を実効支配しました。
石油施設の密売や住民からの略奪・課税によって潤沢な資金力を得た組織は、厳格なシャリア(イスラム法)の独自解釈を強要。異教徒とみなした少数民族ヤジディ教徒への虐殺や性奴隷化、異論を唱えるスンニ派住民や外国人の公開処刑など、前代未聞の暴虐を繰り広げました。