かつて「大阪のうどん」といえば、柔らかめの茹で麺に上品な昆布・鰹出汁を合わせた「きつねうどん」が定番でした。しかし現在、東大阪エリアで起きている現象は従来の概念を大きく覆しています。自家製麺による強靭なコシを持つ讃岐スタイルと、大阪伝統の出汁文化、さらにスタミナ重視の具材がハイブリッドに融合し、独自の食文化圏を形成しているのです。
この背景には、東大阪特有の地域構造が存在します。中小企業の町工場が集積するこの地では、古くから「短時間でしっかりエネルギーを補給できる、安くて旨く、ボリュームのある食事」が求められてきました。労働社会学の観点からも、工業集積地における外食産業は、炭水化物と良質な脂質・塩分を効率よく摂取できるメニューが淘汰・進化を繰り返す傾向にあります。その結果、並盛でも麺量400g〜500g超を提供する店舗が標準化し、圧倒的な満足感がクチコミを呼び、市外からも多くのファンを引き寄せる要因となっています。