ネット上の情報やSNSの投稿では、「完熟梅は木から自然落下したものを拾うのが一番甘くておいしい」「固い青梅を買って部屋に置いておけば全て完熟梅になる」といった言説が散見されます。しかし、食品衛生と加工技術の観点から見ると、これらには重大な落とし穴が存在します。
【誤解1:地面に落ちた梅を拾って漬ければ最高級になる?】
南高梅の最高級品などでは、園地に青いネットを敷き詰めて自然落下した実を毎日回収する手法が取られます。しかし、これは「衛生管理された専用ネット上」に落ちた場合の話です。自宅の庭の土や砂利の上に落下した梅は、落下時の衝撃で肉眼では見えない微細な内部打撲(内出血状態)を負っており、そこからカビ菌や土壌細菌が侵入します。これを梅干しにすると、漬け込み中にカビが発生する主因となります。自宅梅の木収穫では、木を軽く揺らしてネットで受けるか、手でもぎ取るのが鉄則です。
【誤解2:青梅はすべて追熟させれば梅干し用に化ける?】
青梅を常温に置いて黄色くする梅の追熟方法自体は有効ですが、どのような青梅でも良いわけではありません。収穫時点で種が完成していない「若すぎる青梅」を追熟させると、黄色くはなるものの水分が抜けて皮がシワシワになり、芳醇な香りは生まれません。追熟に耐えられるのは、あくまで「収穫適期に達した張りのある青梅」に限られます。
追熟を行う際は、新聞紙を敷いた平らな段ボールやザルに梅が重ならないように並べ、風通しの良い日陰で1〜2日常温放置します。ヘタ周辺から黄色みが広がり、桃のような甘い香りが立ち上った瞬間が加工のデッドラインです。放置しすぎると茶色く変色(ヤケ)して腐敗へと直結します。