「保護犬ならタダで、しつけも入っていて飼いやすい」という言説は、現場を知らない完全な幻想です。
保護犬の多くは、元野犬や劣悪なブリーダー環境で育った繁殖引退犬、あるいは一般飼い主の飼育放棄犬です。彼らは一般的な家庭犬のように「子犬期に人間社会の刺激に慣れる社会化トレーニング」を受けていません。成犬になって初めてフローリングの床を歩き、テレビの音に怯え、散歩の引き綱にパニックを起こす個体も珍しくありません。
また、病気のリスクも考慮すべき重要事項です。フィラリア陽性、遺伝性の関節疾患、長年の栄養失調による内臓疾患を抱えている場合、譲渡直後から毎月数万円単位の継続治療費が必要になる現実があります。「購入費用が浮いたから安上がり」という認識で迎えると、想定外の医療費負担に直面して家計が破綻し、最悪の「再放棄」につながるリスクを孕んでいます。