着物業界における競合他社、例えば歴史ある京都きもの友禅などが王道の古典柄で強固な基盤を築く一方で、株式会社一倉は独自のデザイン開発力で異彩を放つ。企画から製造、販売までを自社グループで完結させる垂直統合型の仕組みを活かし、伝統的な絞りや友禅技法をベースにしながらも、現代のニュアンスカラーやアジアンレトロなモチーフを取り入れた「一倉オリジナル柄」を毎年発表。他店では決して手に入らない限定デザインとして話題を呼んでいる。
こうしたオリジナリティの構築を牽引してきたのが、同社創業の精神だ。かつて創業者の一倉重明氏が掲げた「日本の美しい和装文化を身近にし、すべての人に晴れ姿の感動を届ける」という強い理念が、今も製品開発の細部に生きている。既存の和装産業の枠組みにとらわれず、時代の空気感を敏感に反映させたデザイン開発は、まさに老舗の技術と現代の感性が融合した成果と言えるだろう。