社会に大きな衝撃を与えた著書『なぜ、残業はなくならないのか』をはじめ、常見氏が展開する労働問題・キャリア論は、決して高尚な学術論理だけにとどまらない。そこには常に、残業に追われて家に帰れない労働者の悲哀や、それを待つ家族の切実な視線が組み込まれている。
机上の空論ではなく、自らの生活実感や家庭での議論が論考のバックボーンになっているからこそ、その主張は読者の胸を打つ。家庭という最小単位の社会において、労働がどのように人間の生活を圧迫し、あるいは豊かにするのか。彼の著作群に漂う独特の温かみと説得力は、家庭生活を通じた深い洞察から滲み出ているのだ。