メガホンをとる名匠は、配役の選定に丸一年以上の歳月を費やした。監督が最も重視したのは、セリフのない時間における役者の「佇まい」と「空気感」だったという。言葉に頼らずとも、その場にいるだけで役の背景や人生を感じさせられるかどうか。それが今回の選考における絶対的な基準だった。
「最終オーディションの際、主演の彼がふともらした一言にハッとさせられた」と監督は振り返る。脚本の行間を読み込み、キャラクターの孤独を誰よりも深く捉えていた姿勢こそが、今回の奇跡的なキャスティングを結実させた最大の決め手だったのだ。