なぜ平地を歩くときには問題ないのに、階段になると急激に負担が増すのか。その鍵を握るのが、運動生理学やスポーツ医学の分野で研究が進む筋肉と関節の運動力学だ。
階段を上る際、人間の身体には体重の約2〜3倍、降りる際には実に3〜5倍もの衝撃荷重が下肢にかかる。この衝撃を吸収し、身体を引き上げる主役となるのが、太ももの前側に位置する大腿四頭筋である。最新の研究では、加齢や座り勝ちの生活によってこの大腿四頭筋の筋繊維が速いスピードで萎縮し、同時に関節の連動性が失われることが判明している。筋力が低下すると衝撃が直接関節へとダイレクトに伝わり、それが激痛や疲労感となって跳ね返ってくるわけだ。