かつて水族館の水槽といえば、厚いガラス板を金属フレームで補強した構造が一般的だった。しかし、一般的な建築素材である強化ガラスには、水族館の大型化において決定的な弱点が存在した。ガラスは厚みを増せば増すほど緑色が濃くなり、光の透過率が著しく低下する。さらに重く、万が一クラックが入れば一気に倒壊する危険性を孕んでいた。
そこで登場したのが、有機ガラスとも呼ばれる化学物質、ポリメタクリル酸メチル (PMMA)である。この素材は可視光透過率が約92%と、一般的なガラスを上回る透明度を誇る。さらに重要なのは、厚みを増しても色濁りがほとんど生じない点だ。耐衝撃性においてもガラスの十数倍におよび、過酷な水圧がかかる大型展示において不可欠な選択肢となった。