結びの一番などで何十本もの懸賞幕が土俵を周回する光景は、観客の興奮を最高潮に高める。その中でも一際目を引くのが永谷園の懸賞幕だ。公益財団法人日本相撲協会が定める規定のもと、1本あたり7万円(手数料等含む)とされる懸賞金だが、永谷園が主要な取組に指定して出す懸賞幕の数は群を抜いている。
実は、この懸賞幕にはファンがあまり知らない舞台裏がある。懸賞金は勝者となった力士にその場で手渡されるが、土俵上で力士が受け取る熨斗袋の中身には、現金だけでなく税金控除のための積立金が含まれている。また、永谷園のような大口スポンサーがどの取組に懸賞をかけるかは、力士の話題性や好カードを分析した上で決められる。土俵上を鮮やかに彩る1枚の布の裏には、緻密に計算された企業スポンサーシップの戦略と、力士たちの汗と涙へのリスペクトが込められているのだ。