1977年に放映された『岸辺のアルバム』は、日本のホームドラマの概念を根底から覆した記念碑的作品である。多摩川の水害という実際の災害をバックボーンに、一見平和に見える中流家庭の内側で進行する不倫、非行、冷め切った夫婦関係を容赦なく暴き出した。一家族の崩壊劇でありながら、戦後日本の高度経済成長がもたらした空虚さを浮き彫りにした脚本は、放送当時、日本中の茶の間に激震を走らせた。
この作品が提示した「完璧な家族など存在しない」という冷徹かつ温かなまなざしは、優れたヒューマンドラマの真骨頂である。目に見える幸福の裏に隠された孤独をすくい取る眼差しこそ、彼が描くドラマが何十年経っても色褪せない最大の理由にほかならない。