一方、騒動のもう一人の当事者である新垣隆氏の歩んだ道は、対照的と言うほかはない。会見での誠実な対応と、皮肉にもその圧倒的な音楽的才能が世に知れ渡ったことで、彼は一躍時の人となった。バラエティ番組への出演からゴーストライター時代の暴露ネタまで、時に自虐的な笑いを交えつつメディアに引っ張りだことなった。
しかし、新垣氏の本領はバラエティタレントとしての顔だけではない。彼は本来の主戦場である現代音楽の分野で目覚ましい活躍を続け、ピアニスト・作曲家としての地位を不動のものにした。管弦楽曲の委嘱制作や、ジャンルを超えたコラボレーションライブなど、日本の音楽業界においてなくてはならない稀代のマルチミュージシャンとして多忙な日々を送っている。加害者と被害者という単純な図式を超えて、二人が辿った運命の明暗は、現代のメディア社会の功罪を象徴している。