「ちいかわ」の世界が大人を惹きつけてやまない最大の要因は、サブキャラクターたちが背負う生々しい生活感にある。ハーモニカを愛し酒とつまみを渋く嗜む「くりまんじゅう」、酒の資格取得を目指してスーパーで健気に働く「シーサー」。彼らの姿には、酒場でのささやかな憂晴らしや、キャリアアップのために勉強に追われる社会人のリアルがそのまま投影されている。
さらに、他者の身体を奪って可愛さを手に入れた「モモンガ」のような歪んだ承認欲求を持つ存在や、元は人間らしき姿だった怪物たちの悲哀も描かれる。単なる「善悪」で割り切れない人間の業や社会の構造的理不尽さが、幾重にも重なるドラマを生み出している。