声を失った彼が向かったのは、都市の狂騒から離れた大自然の中だった。山梨県・富士山麓に拠点を移し、自らの手で土を耕し、作物を育て、薪を割る。自然の循環の中に身を置く生活が始まりだった。
「土に触れ、風を感じることで、失われていた自分の本来の呼吸を取り戻すことができた」。マイクの前で絞り出すような発声ではなく、命として自然に息を吐き、吸うという感覚。この暮らしの中で心身の緊張が解きほぐされ、奇跡的に声帯が反応を見せ始めた。現在も大切にしている自然志向のライフスタイルは、単なる趣味ではなく、彼の声と魂を支える揺るぎない基盤となっている。