昭和名作刑事ドラマの代名詞である『西部警察』のキャスト一覧を思い返すと、渡哲也演じる大門圭介部長刑事を筆頭に、舘ひろし、寺尾聰、五代高之、御木裕、三浦友和といった錚々たる顔ぶれが並びます。その中で「加納竜の役名は何だったのか」と疑問を持つファンが後を絶ちません。
事実関係を整理すると、加納竜は『西部警察 PART-I』第53話「小岩の女」などにゲスト俳優として出演しています。演じたのは大門軍団の刑事ではなく、事件の鍵を握る影のある青年役でした。当時すでにトップスターとしての地位を確立していた彼の鬼気迫る演技は、単なる一話完結のゲストにとどまらない鮮烈なインパクトを視聴者に焼き付けました。
彼がレギュラー刑事として記憶されやすい最大の要因は、当時彼自身が『鉄道公安官』や『刑事犬カール』などの別作品で主役級の刑事を演じていたこと、そして後に石原プロモーション制作の刑事ドラマにメインキャストとして参画したことにあります。シャープな身のこなしと甘いマスクが、あまりにも大門軍団の世界観に合致していたがゆえの「美しい記憶の混同」と言えます。