ふたりの対局で登場した軍儀の戦術「孤孤狸固(ここりこ)」は、単なるゲームの描写にとどまらない過酷な伏線として語り継がれている。かつてコムギ自身が創出出し、一時は破られたはずのこの戦術は、後にメルエムの手によって再評価され、対局の盤上で再び蘇った。
自死を意味するような孤立の形から、奇跡の再起を図る手筋。これはまさに、コムギとメルエムが辿る孤高の運命とその最期を暗示していたかのようだ。冨樫義博が見事に仕掛けた盤上の伏線は、二人の出会いと結末が偶然ではなく、最初から避けられない運命として組み上げられていたことを物語っている。