彼の代名詞とも言えるブロードウェイ・ミュージカル『ラ・マンチャの男』。1969年の初演から半世紀以上にわたり主演を務め、単独主演1300回を超える前人未到の金字塔を打ち立てた。ブロードウェイの英語公演にも単身で乗り込み、現地キャストを率いて絶賛を浴びた伝説は今も語り継がれている。
稽古場での知られざる裏話も興味深い。どれほど回数を重ねても、本番前には必ず初日のような緊張感を持ち込み、劇中歌「見果てぬ夢」の歌詞一行に対して何時間も推敲を重ねたという。見果てぬ夢を追い続けるドン・キホーテの生き様は、そのまま白鸚自身の役者人生と重なり合っていた。