数ある名作の中から、文学的評価とエンターテインメント性を兼ね備えた屈指の傑作を厳選して紹介します。
第1位:『月の満ち欠け』
佐藤正午の最高傑作として名高い本作は、直木賞を受賞し、大泉洋主演で映画化もされた不朽のラブストーリーです。「生まれ変わり」というファンタジックなテーマを扱いながらも、徹底してリアルな人間心理と幾重にも重なる時間軸を描き出しました。愛する人を失った者たちの切実な祈りが胸に迫る、至高の感動作です。
第2位:『鳩の撃退法』
第6回山田風太郎賞受賞作であり、藤原竜也主演でスクリーンを飾った極上の謎解きエンターテインメント。富山県のある街で起きた一家失踪事件と偽札問題を軸に、元直木賞作家の津島が執筆する小説の虚実がスリリングに交錯します。現実とフィクションの境界線が融解していく感覚は、佐藤正午にしか生み出せない職人芸と言えます。
第3位:『身の上話』
宝くじの当選というささやかな幸運が、平凡な夫婦と周囲の人々の運命を狂わせていく傑作サスペンス。ある女性がバーで語り聞かせる形式で進むストーリーテリングが秀逸で、じわじわと忍び寄る破滅の足音に最後までページをめくる手が止まりません。
第4位:『ジャンプ』
恋人がコンビニへリンゴを買いに出たまま、忽然と姿を消してしまうところから始まる追跡劇。何気ない日常のすぐ隣にある底知れぬ深淵を、緊迫感あふれる文体で描いた傑作ミステリーです。失踪の真相をめぐる心理戦は圧巻の完成度を誇ります。
第5位:『永遠の1/2』
1983年の第7回すばる文学賞を受賞した鮮烈なデビュー作。佐世保を舞台に、自分と瓜二つの男の存在に翻弄される青年の青春と焦燥を描いています。独特のリズムを持つ会話劇とハードボイルドな佇まいは、初期を代表する金字塔です。