神社の境内は、日常を過ごす俗界から切り離された神聖な空間である。その境界線を示すのが鳥居だ。多くの参拝者がそのまま通り過ぎてしまいがちだが、鳥居をくぐる直前に足を止め、軽く一礼を捧げるのが本来のあり方である。他人の自宅へお邪魔する際に玄関先で挨拶をするのとまったく同じ礼節が求められている。
参道の中央は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様が通る道とされている。そのため、参道を歩く際は左右どちらかの端に寄って進むのが基本だ。玉砂利を踏みしめる音に耳を澄ませながら一歩一歩進む行為そのものが、心を鎮め、雑念を払う大切な助走期間となっている。