なぜ奈良県では他地域に比べて大きな揺れが少ないという印象が根強いのか。その最大の理由は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが交差する主要な海溝軸から、地理的に一定の距離を保っている地学的な配置にある。
自然地理学の観点から見れば、近畿地方の内陸部に位置する基盤岩は比較的堅固であり、海洋プレートの沈み込みに伴う深発地震の震源から適度に離れている。この地理的条件が、有史以来の「大揺れの回数の少なさ」を生み出してきたのは揺るぎない事実だ。
長年にわたる災害報道の積重ねも、この印象を強固にした。主要メディアが大きな地震被害を報じる際、近県である大阪や和歌山、兵庫に比べて奈良県の被害規模が軽微にとどまるケースが多かったためだ。