これまでNHKやテレビ東京が放映してきた数々のスポーツドキュメンタリー番組では、過酷な代表選考レースを戦う家族の姿が克明に記録されてきた。画面に映し出されるのは指導にあたる母・由香氏の厳しい表情が多いが、そのカメラの枠外には常に全体を見守り、家族のバランスを取る公久氏の存在があった。
カメラが捉えた一瞬の表情や家族会議の映像からも、父が家族の潤滑油として機能していたことが窺える。熱量が高まるあまり衝突しがちな技術指導の現場において、父の存在が冷徹な客観性と癒やしをもたらし、家族というチームを崩壊させずに勝利へ導くキーパーソンとなっていた。