「精神科や心療内科に行くと、強い薬漬けにされるのではないか」という不安を抱く初診希望者は今なお少なくない。しかし、現在の標準治療においてその認識は完全に過去のものとなりつつある。名医と呼ばれる医師ほど、向精神薬の処方は最小限に留め、エビデンスに基づいた心理療法の導入を積極的に進めている。
その代表格が認知行動療法(CBT)だ。ストレスを生み出しやすい思考の偏りや行動パターンを患者自身が認識し、現実的で柔軟な対処法を身につけていくこの手法は、うつ病やパニック障害の再発予防において極めて高い効果が実証されている。公認心理師による専門カウンセリングと医師の診察を密に連動させるクリニックが、大阪市内でも着実に増えてきた。
さらに、巨大化するメンタルヘルスケア産業の技術革新を受け、日々の気分変化や睡眠ログをスマートフォンで記録し、診察時に医師と共有するデジタル連動型の治療モデルも普及している。主観的な「なんとなく調子が悪い」を客観的なデータに置き換えることで、治療の精度と納得感は格段に跳ね上がる。