一方の林葉直子は、10代前半で爆発的なデビューを果たした伝説的な女流棋士である。『女流王将戦』を連覇するなど、圧倒的な強さと愛くるしい容姿で一躍スターダムに駆け上がった。当時の将棋界において、彼女の登場はまさに革新的であり、従来の「お堅い将棋」のイメージを刷新する時代のアイコンとなった。
小説家としても活動し、タレントとしてもメディアを賑わせた林葉の魅力は、その自由奔放さと物怖じしない感性にあった。しかし、伝統的で保守的な棋界の空気感と、彼女自身の溢れ出る個性が衝突するのは時間の問題だった。中原との関係に深くのめり込む中で、彼女は将棋界という狭い世界の中での生きづらさに苛まれ、やがて決別と告白という破天荒な行動へと突き進んでいくこととなる。