最低時給の引き上げが報じられるたびに、SNSや掲示板では「これで生活が楽になる」という期待と、「どうせ追いつかない」という諦めが交錯します。実際のところ、東京都で最低時給1,200円前後の仕事に就いた場合、月収はどうなるのか。単純計算で、1日8時間・週5日(月約173時間)働いた場合の月収は約207,600円、社会保険料と税金を差し引いた手取りはおおよそ16万〜17万円です。
東京都内の単身者向け賃貸物件は、23区外縁部でも家賃7万〜9万円が相場で、そこに光熱費・通信費・食費を加えると、固定費だけで月13万〜15万円に達します。つまり、手取り17万円では貯蓄はおろか、急な出費にも対応できないギリギリの水準です。ネット上の「東京で時給1,200円は無理」「ワンルームで精一杯」という声は、誇張ではなく家計データと整合する実感といえます。
さらに、都内で働く非正規労働者への独自ヒアリングでは、こんな生の声が聞かれました。20代女性は「時給は上がったけど、その分シフトを削られて月収はむしろ減った」と明かし、30代男性は「求人には『最低時給以上』と書いてあるけど、実際は試用期間中の手当なしで最低時給ちょうどだった」と語ります。最低時給は「下限」であって「標準」ではないことが、現場では十分に理解されていません。