物語の中盤以降、単なる火星環境による突然変異という枠組みを超え、読者を戦慄させたのが超古代文明「ラハブ」の存在と伏線です。
太陽系にかつて存在したとされる高度文明「ラハブ」は、地球や火星の生命創生に深く関与していました。火星の地下に眠る巨大ピラミッドや未知の遺構、さらにはゴキブリが持つDNAの特定配列に最初から組み込まれていた「スイッチ」のような遺伝子コード――。テラフォーマーが異常なスピードで人間そっくりの骨格へと進化したのは、ラハブがかつて遺した生命設計図に沿って強制的に呼び覚まされた結果であることが作中で示唆されています。
なぜ彼らはこれほどまでに人類を憎悪し、徹底的な絶滅を図るのか。それは、ラハブの後継者を巡る宇宙規模の選別であり、人類に対する根源的な敵意が遺伝子レベルでプログラミングされていたからに他なりません。「害虫とのサバイバル」から「古代文明の因縁を巡る星間戦争」へと物語のスケールが跳ね上がった瞬間でした。