鏑木清方の「幻の傑作」再発見が証明した美人画の真髄と波乱の生涯

鏑木清方の「幻の傑作」再発見が証明した美人画の真髄と波乱の生涯

今注目を集めている 鏑木清方の「幻の傑作」再発見が証明した美人画の真髄と波乱の生涯について、主要な情報を分かりやすく掲載しています。

鏑木清方の画業を語る上で欠かせない最大のトピックが、代表作『築地明石町(つきじあかしちょう)』をめぐる劇的な再発見の経緯です。

1927(昭和2)年に発表され、第8回帝国美術院展覧会(帝展)で最高賞にあたる帝国美術院賞を受賞した本作は、明治後期の築地明石町に佇む女性の姿を描いた近代美人画の最高到達点と称されました。しかし、1975年に開催された展覧会への出品を最後に、半世紀近くにわたって個人の所蔵先が分からなくなり、「幻の絵画」として長年その行方が捜索され続けていたのです。

事態が急展開を迎えたのは2018年。美術関係者による慎重な調査の結果、都内の個人宅で『築地明石町』が、対をなす姉妹作『新富町』『浜町河岸』とともに極めて良好な状態で保管されていることが確認されました。報道各社の取材や東京国立近代美術館(MOMAT)の公式発表によると、約44年ぶりとなる奇跡的な発見を受け、同館が三部作を一括取得。2019年にはわずか1年という異例のスピードで国の重要文化財に指定されました。

作品に描かれた女性は、朝霧の立ち込めるなか、夜会巻きに黒羽織を羽織り、振り返るような仕草を見せています。小指にはめられた金の指輪、繊細極まる後れ毛、足元のぬかるみを避けるような下駄の爪掛けなど、失われゆく明治の風俗と女性の内面美が完璧な調和を保って結晶化しています。この名作の帰還は、日本美術界における21世紀最大の収穫の一つとして記録されています。

加藤 愛美
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加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。