クイズ番組や世論調査でも頻繁に見られるのが、「日本一長い川=利根川」という思い込みだ。この混同が起きる最大の原因は、学校教育やニュース報道で強調される「長さ」と「流域面積」の指標の違いにある。
河川の規模を測る物差しには、本流のスタート地点から河口までの距離を表す「幹川流路延長(長さ)」と、雨水がその川に流れ込むエリア全体の広さを示す「流域面積」の2種類が存在する。
信濃川は「長さ」で367kmを誇り日本1位だが、流域面積は11,900km²で国内第3位にとどまる。一方の利根川は長さこそ322kmで第2位であるものの、流域面積は16,840km²で日本第1位だ。利根川の流域は群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、東京、長野の1都6県にまたがり、日本の総人口の1割以上が集まる首都圏の水瓶を一手に担っている。
さらに利根川は、古くから「暴れ川」として恐れられ、「坂東太郎(ばんどうたろう)」の異名で親しまれてきた。坂東(関東)にある日本で一番大きな長男(太郎)のような川、という意味が込められている。この圧倒的な知名度と首都圏におけるニュース露出の多さが、「利根川=あらゆる部門で日本一の大河」という心理的錯覚を生み出す要因となっている。