シリアスなテーマが展開する一方で、パンクハザード編のエンターテインメント性を極限まで高めたのが、当時「王下七武海」に君臨していたトラファルガー・ローの「オペオペの実」による能力です。ローが放った「シャンブルズ(心身交換)」により、研究所内にいた麦わらの一味の精神と肉体は強制的にシャッフルされました。
この混乱劇において、ナミは最初にフランキーの肉体へと精神を飛ばされ、ナミ自身の肉体には女好きのサンジの精神が入るという、前代未聞の事態が発生します。美貌を誇るナミの肉体を手に入れたサンジは歓喜し、鼻血を吹き出しながら暴走。普段の知的なナミからは想像もつかない表情や挙動が描かれ、読者に大きなインパクトを与えました。
しかし、単なるギャグ描写では終わらないのが尾田栄一郎氏の真骨頂です。極寒の湖に沈んだ錦えもんの胴体を救出するため、サンジはナミの肉体でありながら「見聞色の覇気」と卓越した遊泳力を駆使して氷点下の水中へダイブ。肉体を返還されたナミは、寒さで凍える自らの身体に激怒しつつも、過酷な状況で命を張って仲間を助けたサンジの気概を認めざるを得ないという、信頼とユーモアが同居した絶妙なドラマが展開されました。