地上波テレビのレギュラー番組がゼロになったからといって、経済的な困窮を意味するわけではありません。むしろ2026年現在、芸能界で最も手堅く、かつ効率的に巨額の利益を上げているのは、テレビから営業や独自マーケットへと主戦場を完全にシフトさせた歴代の一発屋たちです。
ダンディ坂野:広告業界が重宝する「究極のノイズレスタレント」
ダンディ坂野は、2026年現在も複数のナショナルクライアントとCM契約を結び続ける「ミスターCM」です。なぜ彼の需要は途切れないのか。広告代理店のキャスティング担当者はその理由を明快に説明します。
「ダンディさんの『ゲッツ!』は、老若男女の100%が知っており、不快感がゼロで、誰も傷つけない。スキャンダルリスクが極めて低く、黄色いスーツと指差しポーズだけで画面が一気に華やぎ、商品の訴求ポイントへスムーズに誘導できる。企業にとってこれほど安全で費用対効果の高いタレントはいません」。
地方の住宅展示場や商業施設での営業ギャラも高水準で安定しており、移動時間を除けば拘束時間はわずか数十分。過酷なテレビ収録に追われることなく、実質的な労働時間を抑えながら年収数千万円をコンスタントに稼ぎ出すという、極めて合理的なビジネスモデルを完成させています。
小島よしお:教育系へのピボットで「ファミリー層の絶対神」へ
小島よしおの生き残り戦略は、エンタメビジネスにおける最も鮮やかなピボット(事業転換)の成功事例としてビジネススクールでも研究対象に挙がるほどです。彼は自身の武器である「パンツ一丁のハイテンション」を、大人向けのお笑いから「子ども向けの知育・情操教育エンタメ」へと見事に再定義しました。
コロナ禍に開設したYouTubeチャンネル『おっぱっぴー小学校』で算数や国語をわかりやすく教える動画が爆発的な支持を獲得。さらにジュニア野菜ソムリエやキッズコーディネーショントレーナーなどの資格を次々と取得し、絵本の出版や知育ライブを展開しています。
全国のショッピングモールで開催される無料ライブには、親世代(かつて彼のネタをリアルタイムで見ていた層)と子ども世代が殺到し、一回のイベントで数千人を動員します。地方自治体からのオファーや教育関連のタイアップ案件が引きも切らず、現在の推定年収はブレイク期に匹敵する1億円規模に達していると目されています。
ヒロシ&ゴー☆ジャス:独立独歩のデジタル&コミュニティ経済圏
個人の熱狂的なファンコミュニティやデジタルプラットフォームに活路を見出した例も顕著です。
- ヒロシ:ソロキャンプ動画の先駆者として登録者100万人超のYouTubeチャンネルを育て上げ、山林を購入。オリジナルキャンプギアのブランド立ち上げや書籍の執筆、カフェ経営など、もはやテレビタレントの枠を完全に脱したアウトドア起業家として大成功を収めています。
- ゴー☆ジャス:地球儀を持った宇宙海賊のキャラをそのままYouTubeのゲーム実況チャンネル『ゴー☆ジャス動画』へ移植。ゲームメーカーとの強固なアライアンスを築き、若年層やゲーマー層から絶大な支持を得て、10年以上にわたり高収益を維持しています。