話は1989年に遡る。日本映画界が斜陽と叫ばれ、地上波テレビの規制が徐々に強まりつつあった時代だ。そこに風穴を開けたのが、映画会社ではなくビデオソフト専門の販売会社だった。その中心にいたのが東映ビデオである。劇場公開を前提とせず、直接レンタルビデオ店や一般販売向けに制作される「オリジナルビデオ」という発想。これこそが、後の巨大産業へと開花する伝説の始まりだった。
制作費も時間も限られた過酷な現場。しかしそこには、表現の制約に縛られない圧倒的な「自由」が存在した。地上波では絶対に流せない過激な暴力描写、生々しい人間模様、そして尖りきったアクション。何にも迎合しないこのスタンスが、過密な都市生活に疲れた男たちのバイブルとなった。まさにオリジナルビデオ業界は、日本エンタメ史における最大のオルタナティブ・ムーブメントだったのだ。