視覚的な驚きにとどまらず、聴覚を通じたタイムトラベルを体験できるのが「蓄音機・音響遺産展示プロジェクト」だ。館内の一角には歴史的な名機とされる大型ホーン蓄音機が鎮座し、定期的に開催される蓄音機コンサートでは、往年のSPレコードに刻まれた生々しい音が館内に響き渡る。
電気的な増幅を一切介さず、針が溝をなぞる摩擦と空気の振動だけで鳴り響く音色は、驚くほど太く温かい。失われた過去の音響空間を現代の丸の内に現前させるこの試みは、音楽ファンのみならず、音響技術の進化を追う研究者からも熱い注目を浴びている。