新大手町ビルの再開発に関する噂が絶えない最大の要因は、建物の物理的な老朽化と敷地が持つポテンシャルの乖離にあります。同ビルが竣工したのは1958年(昭和33年)12月。すでに築65年を超えており、旧耐震基準の時代に設計された骨格は度重なる耐震補強によって安全性を維持してきたものの、最新鋭の特別高圧電力引き込みや巨大な空調ダクトの増設といったITインフラへの根本的な適応には限界が生じています。
さらに見逃せないのが、都市計画上の容積率です。新大手町ビルが建つ大手町2丁目エリアは、都市再生特別地区などの指定を受けることで、従前の数倍におよぶ大規模な延床面積を確保できる可能性があります。敷地面積は約1万平方メートル超という都心一等地でありながら、現在の地上10階建てという規模は、地価と有効活用の視点から見れば極めて贅沢な、言い換えれば「更新が急務の低未利用地」とみなされる側面を併せ持っています。
事業主である三菱地所は、隣接する「大手町ビル」については躯体を活かした大規模リノベーション(いわゆる100年ビル化)を選択しましたが、新大手町ビルに関しては構造形式や敷地形状の違いから、全面的な建て替えによる高層複合ビルへの再整備が有力視されてきました。これが、業界関係者やオフィスワーカーの間で「解体秒読み」との噂が定期的に再燃する構造的な理由です。