桑島が切り取るポートレート写真は、従来の商業写真が追求してきた「綺麗に飾る」手法とは対極に位置する。嘘のない光、偶然捉えられた表情の歪み、生活の匂い。それらが一体となり、被写体の生命力を生々しく浮き彫りにする。日本の現代写真において、これほど長期にわたり同一の女性を追い続けたプロジェクトは極めて稀有だ。
安達祐実という稀代の女優もまた、レンズの前で一切の演技や取り繕いを捨て去った。二人が生み出した作品群は、被写体と撮影者の関係性を根底から問い直す現代写真のエポックメイキングな事例として、今なお写真批評家たちの間で語り継がれている。