血圧の基準値を巡っては、受診者を混乱させる議論が過去にも繰り広げられてきた。日本高血圧学会が提示する高血圧治療ガイドラインと、日本人間ドック学会が示す判定区分との間に見られる表現の違いだ。
日本高血圧学会が診察室血圧で140/90 mmHg以上を高血圧と定義し、厳格な降圧目標(130/80 mmHg未満)を推奨する背景には、長大な疫学調査がある。わずかな血圧上昇であっても、長期間放置すれば心血管イベントの発症率が確実に跳ね上がるという確固たるデータに基づいているからだ。
厚生労働省が主導する国民健康・栄養調査でも、生活習慣病予備軍の増加が国家的な課題として浮き彫りになっている。判定基準の細かな文言の違いに惑わされるのではなく、「血管に余計な圧力をかけない」という本質的な予防医学の視点を持つことが極めて肝要だ。