手芸用品の調達に関して、ネット上では「100均の糸や生地は強度が低くて使い物にならない」「ネット通販の格安布地で入園グッズを作れば最安で済む」といった極端な意見が散見されますが、これらには現場を知る者からすると大きな落とし穴が存在します。
まず、100円均一ショップのミシン糸に関する誤解です。黎明期の製品とは異なり、現在の主要100均チェーンで流通しているポリエステル製スパンミシン糸は日常的な袋物や簡易補修には十分な強度を備えています。しかし、家庭用ミシンの機種によっては「糸調子が合いにくい」「毛羽立ちによってボビン周辺に埃が溜まりやすい」という構造上の相性問題が実際に発生します。高価なデジタルミシンを使用している場合、ミシン糸だけは手芸専門店でフジックス社製などの定評あるブランド糸を指定して購入する方が、結果的にマシントラブルや縫い直しのタイムロスを回避できます。
もう一つの盲点は、格安海外ECサイトにおける布地の「水通し(縮み防止の浸水作業)」問題です。海外直販の激安生地は防縮加工が不十分な綿・麻素材が多く、完成後に洗濯機に入れた途端に2〜3割も縮んでしまい、サイズ指定のある学校用バッグが規定外になってしまうトラブルがSNSで頻発しています。実店舗で販売されている日本国内メーカーの生地は、縮率の目安やホルムアルデヒド検査が厳格に行われており、子供が毎日肌に触れる用品としての安全性が担保されています。価格差の裏には、こうした目に見えない加工品質の差が存在している点に留意しなければなりません。