赤く見えても、それが生焼けを意味するわけではない。肉の加熱状態を決めるのは「色」ではなく「中心温度」と「保持時間」だ。2026年の最新食品衛生ガイドラインでも、牛肉の中心部が一定の温度条件(たとえば60℃で数分間など)を満たしていれば、食中毒原因菌であるカンピロバクターや腸管出血性大腸菌は死滅すると明確に示されている。
特に近年の主流である真空低温調理器を使えば、肉の表面はしっかり殺菌され、内部は鮮やかなピンク色のまま安全に仕上がる。ミオグロビンは加熱温度が65℃を超えると変性して褐色に変わるため、60℃前後の絶妙な火入れで作られたローストビーフは、安全でありながら赤い汁が保持されるのだ。見た目の赤さに惑わされて、加熱しすぎないことが重要になる。