つまみ細工の基本技法は、布を正方形に切り出し、折りたたんで花弁を作る「丸つまみ」と「剣つまみ」の2種類に集約される。だが、そのシンプルさゆえに、作家の技量が生み出す差は残酷なほど顕著に出る。ピンセットの角度ひとつで花びらの角度が変わり、デンプン糊の水分量によって布地の張りが変化するからだ。
創業70年を迎える老舗工房の職人は、ピンセットを素早く動かしながらこう明かした。「振袖の生地は重厚ですが、髪飾りまで重くなると着崩れや崩れ髪の原因になります。絹羽二重(はぶたえ)を使ったつまみ細工は、見た目の華やかさに反して驚くほど軽い。長時間に及ぶ式典や二次会でも頭部への負担が少ない点も、選ばれる大きな理由です」。