長年、日本の幼児教育現場を縛ってきた「壁面にずらりと並ぶ、見本と寸分違わぬ完成品」という同調圧力。この光景に異を唱える声は年々強まっている。厚生労働省が定める保育所保育指針においても、表現領域の本質は「感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむこと」にあると明記されている。
NHK Eテレ『すくすく子育て』などでおなじみの教育学者・汐見稔幸氏は、大人が設定した枠組みに子どもを当てはめる危険性を繰り返し指摘してきた。角が3本ある鬼がいてもいい。ピンク色の雪だるまがあってもいい。子どもが「自分で決めて作った」という自己効力感こそが非認知能力の土台となるのであって、大人の鑑賞に耐えうる整った見栄えを目指すのは本末転倒だという視点だ。