ネット情報があふれる現代において、失敗しない店選びの指針としてスマートフォンを握りしめる人は多い。確かに「食べログ」などのポータルサイトで高評価を獲得している店は、味も接客も一定水準以上が保証されている。しかし、評価点数だけでは測れないドラマが、京都の夜には隠れている。
ガイドブックに載っていない地元の常連で賑わう店は、看板すら控えめだ。そこでは、その日に港から届いた鮮魚や、近郊の農家が育てた京野菜が、飾らないおばんざいとしてカウンターに並ぶ。数字上の評価を追うのも良いが、ふと足を止めた路地の先にある暖簾をくぐる勇気こそが、忘れられない夜の思い出を紡ぎ出す。