ネット上では「うろ覚えの語源は『うろたえる』である」という説がしばしば拡散されるが、これは学術的な裏付けが乏しい。『日本国語大辞典』をはじめ主要な辞書は「うろたえる」との直接的な関連を認めていない。むしろ「うろ」という語幹が独立して「空洞」や「斑」を意味していたところに、動詞形の「うろたえる」が並行して成立したと考えるのが自然だ。
また「うろ覚え」を「うろおぼえ」とひらがなで表記するケースも増えている。これは漢字表記が定まっていないことの裏返しでもある。常用漢字表に「うろ」に該当する漢字はなく、新聞や放送ではひらがな表記が標準とされてきた。この表記の揺れが、語源の不透明さをさらに際立たせている。